こんにちは。タロットファン.jp 井上です。
現存する最古のタロットカードとされている、ヴィスコンティ・スフォルツァ版のタロットカードは、15世紀の画家によって、一枚一枚手書きで描かれたタロットカードです。
現在では、そのデッキの一部のカードが、博物館などに大切に保管されていますが、その構成はそれぞれのデッキによっても、微妙に異なるといわれています。
今回はそんな、ヴィスコンティ・スフォルツァ版を、ゴールデン仕様のタロットカードとして復刻した、「ビスコンティ・タロット」を紹介していきましょう。
まるで、西洋の宗教画の世界に迷い込んでしまったかのような、そんな美しさをご堪能下さい。
ヴィスコンティ・スフォルツァ版とは
それでは最初に「ゴールデン・ビスコンティ・タロット」に繋がる歴史を、簡単にだけ確認します。
「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」のタロットカードとは、どんなカードなのか、その概要を抑えておきましょう。
Wikipediaにおける解説
まずは、Wikipediaに記載されている解説の一部を抜粋しましょう。
ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット(Visconti Sforza Tarocchi)とは、15世紀後半にミラノ公のフランチェスコ・スフォルツァなどが、画家に描かせたタロットカードで、様々な博物館、図書館、そして世界中の個人コレクションに散らばる、約15デッキのタロットを総称したものである。
現存する最古のタロットとして知られ、現在標準とされているマルセイユ版とは、絵柄などにかなりの違いが見られる。また、悪魔、塔が欠落しており、最初から無かったのか、散逸したのかをめぐって研究家の間でも意見が分かれている。
完全なデッキは残されていないが、コレクションによっては、同一のカードで構成された、多くの絵札が残されているものもある。
Wikipedia引用:ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット
※フランチェスコ・スフォルツァ
フランチェスコ・スフォルツァ
ビスコンティ・タロットの生みの親とされるフランチェスコ・スフォルツァは、15世紀前半にミラノ公の「フィリッポ・マリア・ヴィスコンティ」に使えた傭兵隊長でした。
彼は最良の司令官として、公国の危機を救った英雄で、ビスコンティの側室の娘を妻として与えられていまっした。
そんなスフォルツァと、ヴィスコンティが画家に描かせたタロットカードが、「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」とされるタロットデッキです。
最古のタロットカードが、フィリッポ・マリア・ヴィスコンティの注文によるセットという学説があることから、当時の15種類のタロットデッキを総称して、「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」と呼ぶようになりました。
※フィリッポ・マリア・ヴィスコンティ
ビスコンティ・タロットとは
ゴールデン・ビスコンティ・タロットカードは、そんな15世紀の文化が反映された、「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」を、現代に蘇られた美しいタロットデッキです。
先のWikipediaの記載にも在ったように、「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」のタロットは、構成が現代のタロットデッキとは微妙に違いました。ですがこちらは、一般的なマルセイユ版として作られています。
ですので、大アルカナは22枚、小アルカナは56枚の合計78枚で1デッキとなります。
小アルカナは、トランプのような数札となっており、ワンド、ソード、ペンタクル、カップの4種類の象徴がそれぞれのカードに描かれています。
ゴールデン仕様を細かくチェック
まずはビスコンティ・タロットカードの中身の前に、ゴールデン仕様についていくつかチェックしていきましょう。
その後で、大アルカナと小アルカナについても、写真付きで紹介したいと思います。
カードケースもゴールド仕様
ビスコンティ・タロットのカードケースは、黒色に金のコーティングが施された、とてもシックなデザインなっています。
元々、カードの絵柄がゴシック調の様式で描かれているので、落ち着いた柔らかい色合いの中に、金色のコーティングが成されており、高級感が増している感じです。
また、それぞれのカードのナンバーや、五ヵ国語表示でのカード名も、金色にコーティングされているので、なおさら質感の高さを感じます。
そんな黒と金のコントラストが、このヴィスコンティ・スフォルツァ版の画風と合わせって、独特な雰囲気を醸し出いる感じです。
付随の説明書も、英語、イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語の五ヵ国語ですが、その点は他のタロットカードと同じですね。
タロットカードの裏面や側面は一般的
そして気になるゴールドのコーティングの範囲ですが、このゴールデン・ビスコンティ・タロットカードは、裏面や側面にはコーティングがされていません。
一部のオラクルカードでは、そのようなコーティングがあるカードもありますが、タロットカードは一枚一枚が薄いので、技術的に難しいのだと思います。
他のゴールデンタロットカードも、裏面や側面へのコーティングは無いので、タロット占いはあまり適さないのでしょう。
なお、ビスコンティ・タロットの裏面の柄は、この見出しの写真の中央の柄が、そのデザインとなります。
他の種類のタロットカードの裏面については、こちらの「人気のタロットカードの裏面のデザインを写真付きで徹底紹介!」にも載っているので、気になる方はご覧ください。
タロット占いの使い勝手は?
総合的に見て、このビスコンティ・タロットカードも、タロット占に使う上では、一般のタロットカード同様に、滑らかなシャッフルやカードワークが楽しめます。
ゴールド仕様だからといて、占いのやりにくさなどは特に無く、使用感は変わるところはありません。
ただ、構図が一般的なタロットカードと比べると、より穏やかなデザインになっているので、カードの種類を判別するのには、少し慣れが必要かもしれません。
また、黒色のカードの上に、金色のコーティングと絵画が描かれているので、タロットクロス・ペンタクルなどを一緒に使うと、かなりカードが栄えるでしょう。
宗教画のような雰囲気と相重なって、厳かなタロット占いが楽しめそうです。
大アルカナカードをチェック
では大アルカナカードから順番に、ビスコンティ・タロットカードのそれぞれの絵柄の特徴を見て行きましょう。
大アルカナ:愚者、魔術師、女教皇、女帝、皇帝、教皇、恋人
写真をご覧いただければ、大アルカナカードの背景がゴールデン仕様になっていることは、お解りただけるでしょう。
特に愚者や魔術師から、女教皇の杖までが、光の加減で背景が輝いているように見えます。
ゴールデン・ビスコンティ・タロットカードは、背景のほかにも衣服のラインなども、ゴールド仕様となっているところが特徴です。
ウェイト版のように、細かな象徴などは登場せず、シンプルな肖像画のようなデザインです。
※ビスコンティ・タロットカードの愚者、魔術師、女教皇、女帝、皇帝、教皇、恋人
大アルカナ:戦車、正義、隠者、運命の輪、力、吊るされた男、死神
続いては戦車以降の7枚のカードです。
気になる絵柄の違いは、戦車を引く馬がペガサスとして描かれている点など、ビスコンティ・タロットらしい宗教的な影響を感じます。
また、マルセイユ版の構成なので、8番は正義のカードとなります、上部にソードのナイトの姿が描かれるななど、こちらもどこか貴族らしい雰囲気があります。
さらには、運命の輪のカードなども、子供たちが中央の天使と戯れているかのようです。上部の存在には角が描かれて、まるで鬼のような姿です。
※ビスコンティ・タロットカードの戦車、正義、隠者、運命の輪、力、吊るされた男、死神
大アルカナ:節制、悪魔、塔、星、月、太陽、審判、世界
それでは、ビスコンティ・タロットカードの、残りの8枚の大アルカナカードを見て行きましょう。
ここまでご覧いただいても解るように、人物の立つ背景などについても、ウェイト版のタロットカードのように、細部に何らかの意味を持つ絵は描かれていません。
その意味では、カードの名前や登場人物に焦点を当てた、とてもシンプルなデザインのタロットカードだといえるでしょう。
このヴィスコンティ・スフォルツァ版のタロットカードが、後のマルセイユ版の絵柄の原型となり、すべてのタロットカードへと基軸となるのです。
※ビスコンティ・タロットカードの節制、悪魔、塔、星、月、太陽、審判、世界
小アルカナカードをチェック
ここからは、小アルカナカードに焦点を当てて、ビスコンティ・タロットカードの特徴を見て行きましょう。
小アルカナのエースのカード
まずは各スートの象徴のカードともいえる、小アルカナのエースのカードから見て行きましょう。
写真は左から、カップのエース、ペンタクルのエース、ワンドのエース、ソードのエースとなります。
この象徴が描かれているだけでは、このカードが正位置か逆位置なのか解りにくいと思いますから、占う際には左の数字を目印に判断してください。
真っ直ぐに見ると、どこにゴールドが使われているのか解りにくいと思いますが、書くカードの絵柄の黄色の縁取りがゴールデン仕様になっています。
※ビスコンティ・タロットカードの、小アルカナのエース
マルセイユ版らしい数札のカード
エースのカードの絵柄からもお解りのように、ビスコンティ・タロットカードの小アルカナは、トランプのような数札になっています。
こちらの画像は、各スートの8番のカードを並べてみたものです。
2番から10番までは、こんなスートの象徴がそのカードの個数だけ描かれているので、小アルカナを混ぜてフルデッキでタロット占いをするのには、それなりに経験が必要です。
ヴィスコンティ・スフォルツァ版が出来た15世紀までは、遊技用のカードとして、トランプのように使われることが多かったようです。
※ビスコンティ・タロットカードの、小アルカナの8
絵画のような絵札のカード
最後は小アルカナの絵札を紹介していきましょう。
こちらの写真は、それぞれのスートと絵札の印象が解るように、左からカップのキング、ペンタクルのクィーン、ワンドのナイト、ソードのペイジを並べてみました。
背景が美しい輝くゴールド仕様であるとともに、人物が纏っている衣服のしわにも、金色のコーディングが施されています。
大アルカナ同様に、ゴージャスな雰囲気のある絵札は、どこかビスコンティ・タロットカードの気品を漂わせているかのようです。
※ビスコンティ・タロットカードの、小アルカナの絵札
ビスコンティ・タロットを使用して
いかがでしたか?ここまでヴィスコンティ・スフォルツァ版のタロットカードに付いて、詳しく紹介してきました。
ちなみにこの写真は、大アルカナの節制のカードを撮影したものですが、衣服の折り目まで金色のコーティングがされているのが解るでしょうか?
参考まで角度を調整して撮影してみました。
カードの五ヵ国語表示について
今回紹介した、ゴールデン・ビスコンティ・タロットカードですが、多分次の製造ロットでデザインに変更が加わる可能性が高いです。
といいますのも、ロ・スカラベオ社は、現在カード内の五ヵ国語表示を廃止する方向で、デザインの見直しを行っているからです。
製造ロットが変わる段階で、多くのカードの五ヵ国語表示が無くなっています。ですから、もしこの仕様のカードが良い方は、今のうちのコレクションすることをお勧めします。
このカードの五ヵ国表示は、日本人の私たちからすると、それがまたおしゃれな感じがして良いのですが、メーカーの方針ですから仕方ないですね。
スフォルツァ版の誕生の地のメーカー
今回紹介した、ビスコンティ・タロットカードの製造元のロ・スカラベオ社は、北イタリアのトリノに本社があるタロットカードメーカーです。
ですからまさに、スフォルツァ版が誕生した、その土地にある本場のカードメーカーだといえるでしょう。
だからこそなのか、この宗教画のようなカードの美しさや質の高さは、世界中の多くのタロット占いを魅了するものがあります。
あなたもぜひ、そんな素敵なカードを手にして、タロット占いを楽しんで下さい。